日時 | 平成27年3月14日(土) |
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会場 | 島根県立大学出雲キャンパス (〒693-8550 島根県出雲市西林木町151 TEL:0853-20-0200) |
テーマ | 「チーム医療の現在と未来~スキルミクスとタスクシェアリング~」 |
会頭:加藤節司(社会医療法人仁寿会 理事長/同加藤病院 病院長)
第25回日本医学看護学教育学会会頭を務めさせていただきます社会医療法人仁寿会加藤病院の加藤節司でございます。学会の主催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
本学会は創設四半世紀を迎えます。今回はこれまでの歴史と伝統にあらためて敬意を表しつつ、新たな時代へ向けてさらなる飛躍を誓う記念すべき学術学会となります。そこで今大会テーマを「チーム医療の現在と未来~スキルミクスとタスクシェアリング~」としました。近年、特定行為に係る看護師の研修制度や介護職員等認定特定行為業務従事者に対する研修等新たな人材育成に係る、職種を超えた教育の広がりは益々加速しています。社会においても、地域包括ケアシステムの確立が急がれる中、専門職連携医療チームの有する中核機能であるスキルミクス:多能性とタスクシェアリング:権限と責任の委譲がその質を担保する医療への期待は高まるばかりです。本学会では、そのチーム機能を最大化するための教育についてじっくりと考察し討論する機会を提供することにより、「チーム医療とそこで働く私たち自身の未来に灯りをともし、患者さんへの成果を通じて社会へ貢献すること」をこの節目の学術学会ご参加の皆様と共有するミッションとしたいと思っております。特別講演では学会史上初めて外国から講師をお招きします。米国ハワイ州で先進的な地域包括ケアを提供しながらハワイ大学の医学部学生教育を担当するKokua Kalihi Valley Comprehensive Family Servicesのエグゼクティヴディレクター David D. Derauf 医師、並びに、ハワイ地域の多様性に適合でき、高い業績をもたらす医療チームの人材育成を行うハワイ大学看護学部Gary Glauberman看護師の両氏を招聘し、それぞれの異なる視点からチーム医療の現在とあるべき未来について学び、討議する予定となっています。
社会医療法人仁寿会は畑の青魚こと"エゴマ"を特産とする"島根のおへそのまち"石見地方川本町に本部を置いています。その川本町では、大会期間の3月、早春の可憐な妖精"イズモコバイモ"が日本最大級の自然群生地で咲き誇ります。本来であれば、学術集会の合間にその散策を楽しむことのできる川本町を学会の主会場としたいところですが、ロジスティクス全般を考慮して学会会場は島根県立大学出雲キャンパスといたしました。旬のアクセスとして広島方面からご来場いただける方には、約1時間30分のドライブで、川本のイズモコバイモ、エゴマ、炭酸・鉄・ナトリウムなど多彩な温泉成分が癒合する希少性の高い"湯谷温泉"を楽しんだあと、石見銀山を経由して学会会場入りされることを強くおすすめいたします。出雲地方の豊かな古代文化に加え、石見地方の芸術文化も薫る学術学会となるよう努力いたします。関係者一同、皆様とのミーティングを楽しみにお待ちしております。
全国から多くの皆様にお越しいただき、活発なご討論で大会を昇華していただくよう心よりお願い申し上げ、私のご挨拶とさせていただきます。
講師:David D. Derauf
(Kokua Kalihi Valley Comprehensive Family Services ハワイ大学医学部アフェリエイト医療機関 エグゼクティヴディレクター)
講師:Gary Glauberman
(University of Hawaii at Manoa, School of Nursing ハワイ大学看護学部 教官)
講師:加藤節司(社会医療法人 仁寿会 加藤病院 病院長)
医学看護学教育に関するものなど、幅広く一般演題を募集致します。
*当日の学術学会参加も可能ですが、なるべく事前申込にご協力ください。
〒696-0001 島根県邑智郡川本町川本383-1 加藤病院
TEL:0855-72-3040
FAX:0855-72-3039
E-mail:info@k-jinju.or.jp
〒693-8550 島根県出雲市西林木町151 島根県立大学出雲キャンパス
TEL:0853-20-0200
FAX:0853-20-0536
E-mail:jamne-jimukyoku@izm.u-shimane.ac.jp
JR出雲市駅が最寄り駅となります。隣接する電鉄出雲市駅から一畑電車に乗り換え、川跡駅で下車ください。乗車時間は10分、川跡駅から会場までは徒歩5分程度です。時刻などの詳細は一畑電車ホームページでご確認ください。高速バスご利用の方も、JR出雲市駅が最寄り駅となります。出雲市駅よりタクシーでお越しの場合、所要時間は15~20分(料金は1,600円程度)です。
斐川ICが最寄りのICとなります。駐車場は大学東側「一般学生駐車場」をご利用頂けます(無料)。駐車場内のトラブル等に関しては、責任を負いかねますので、ご了承ください。
各自での手配をお願いいたします。会場周辺には宿泊施設がほとんどありません。出雲市駅周辺での手配をお勧めします。
会頭:加藤節司(社会医療法人仁寿会 理事長/同加藤病院 病院長)
第25回学術学会は、島根県立大学出雲キャンパスを会場として2015年3月14日(土)に開催されました。四半世紀に渡る歴史を歩み、節目となった本学会のテーマは「チーム医療の現在と未来―スキルミクスとタスクシェア」です。ホワイトデーと重なった当日朝、受付では、川本特産の"エゴマ"クッキーを参加者全員にお贈りしました。これは、ささやかながら、"畑の青魚、エゴマ"の町川本町に本拠を置く仁寿会として、川本の想いを込めて感謝の気持ちを表したものです。
さて、会頭講演では、3つのお話として、仁寿会が実施する専門職連携教育プログラム、快適に働くということ--ワークライフインテグレーション、そして社会の連帯を高める地域での取り組みをスキルミクス(多能性)とエンパワメント(湧活)の推進方略を交えながらご紹介いたしました。
特別講演には、学会史上初となる海外から講師をお招きしました。ハワイにおいてRooting Interprofessional Health Education in the Communityに取り組む気鋭のeducator二名です。KKV地域包括家庭医療センター長でハワイ大学医学部臨床准教授のDavid Derauf先生から、「Creating Community Spaces for Collaboration, Education and Healing at Kōkua Kalihi Valley Comprehensive Family Services」を、ハワイ大学看護歯科衛生学部講師Gary Glauberman先生からは「Providing Innovative Student Learning Environments for Nursing in the 21st century」についてご講演いただきました。冒頭、両先生は、穏やかに低い声で「A/LO/HA」と聴衆に呼びかけます。続いて演者と参加者は手をつなぎあい伝統的な「チャント」によってお互いを理解し、出雲の地への敬意と祈りを捧げます。こうして、会場はハワイ独特の神秘的な雰囲気に包まれ、講演は始まりました。その内容を要約すると、健康も医療も地域の様々な文化に根付いたものであるが故に、専門職連携教育(地域に出向き、いつでもどこでもお互いに教えあい学びあう教育手法)やService Learning Model(多様なコミュニティサービスの実践の場に参画することから医療における心理社会生物学的な理解を深める)など地域に密着した教育のイノベーションを進めることが、将来の医療の質を高め、地域に健康を取り戻し、医療に係るコストを削減することにつながるということをお示しになりました。また、これらの教育方略により、患者さんはもちろん地域も癒され、さらには地域が、学び・実践する者の心を癒しその満足を高めることになるという斬新な教育視点にあふれた講演内容でした。
二つの講演はまさしく学会のKeynoteとなり、昼食後に行われた島根県石見地方の伝統芸能「石見神楽(いわみかぐら)」の持つ活気とコラボレーション性とも相まって、午後からの一般演題の討議を一層活発なものへとリードしたと思います。6つの会場では、史上最高の演題数68題の発表に基づき、同参加者数約200名が熱心に討論することによって、その成果や新たな研究課題を十分に分かち合うことができていたようです。本大会を通じてミッションとしてお示しした「チーム医療とそこで働く私たち自身の未来に灯りをともし、患者さんへの成果を通じて社会へ貢献すること」へ向かって、参加者が共に一歩前へ進むことができたのではないでしょうか。また、これを機会に、学会員の皆様とハワイ大学との教育交流がより深くそしてより広く展開されるものと強く期待しています。
このように本学会が盛会裡に無事終えることができたのも皆様のおかげです。係っていただいたすべての皆様に深く感謝申し上げます。とりわけ、学会の運営に当たって直接ご協力頂いた、座長の皆様、島根県立大学の皆様、社会医療法人仁寿会の同僚、さらには正確で丁寧な講演通訳を担当していただいた森山翻訳工房の森山裕美子様、ならびに石見神楽を演じていただいた川本町因原神楽団の皆様に心より御礼申し上げます。また、協賛をいただいた各企業の方々に対し御礼申し上げます。
最後にこの学会を創設し、本学会の開催へと導いていただいた先達の皆様にあらためて敬意と感謝を申し上げます。来年の第26回学術学会:島根県立大学出雲キャンパスでお会いできることを楽しみに、また会員の皆様のご活躍と学会のさらなる発展を祈念しつつ学会開催の報告とさせていただきます。