期日 | 平成26年3月9日(日) |
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会場 | 島根県立石見高等看護学院 (島根県益田市昭和町20番15号) |
テーマ | 「在宅の医学看護学教育」 |
会頭:狩野稔久(益田地域医療センター医師会病院 病院長)
今から11年後、65歳以上の人口が総人口の30%を超え、団塊の世代が後期高齢者と言われる75歳以上に到達する2025年、日本の社会は大きな転換点に差し掛かります。いわゆる2025年問題です。
その超高齢社会を見据え、厚生労働省は治療を中心とした「医療」から生活を重視した「介護」、「施設」から「在宅」への流れを促し、医療・介護・福祉の質向上とコスト節約を達成するために「地域包括ケア」を社会保障制度改革の柱に据えました。
地域への流れが加速するなか、医学・看護学教育でも徐々に在宅分野の視点、知識・技術へ注目が集まっているとはいえ、質・量ともにまだまだ不足しているのではないでしょうか。
実践現場ではどんどんと在宅分野が広がり、政策的にもそこに誘導されているにもかかわらず、教育現場では医療機関内・施設内を前提とした医学・看護学教育がほとんどではないでしょうか。
また、「在宅」は職種を超えたチームアプローチの場でもあります。家族や近隣、ボランティアとの連携も求められます。リビングウイル(尊厳死)、終末期医療、延命治療、看取りの問題もかかわってきます。
今後、私たちは未踏の超高齢社会とどう向き合えばよいのか。その対応は急務であり、「在宅」は医学・看護学教育の重要な課題になると思います。
そこで第24回学術学会のテーマは「在宅の医学看護学教育」として2014年3月9日、高齢社会を先取りしている島根県益田市で開催することといたしました。あまり交通の便の良いところとは申せませんが、万葉の歌聖、柿本人麻呂ゆかりの地、益田へ全国からたくさんの皆様方のご参集をお待ちしています。
講師:高野龍昭(東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科 准教授)
講師:狩野稔久(益田地域医療センター医師会病院 病院長)
医学看護学教育に関するもの、コミュニケーションに関するもの、医学看護、心理学、保健医療全般に関するもの等、幅広く一般演題を募集致します。
*当日の学会参加も可能ですが、なるべく事前申し込みにご協力下さい。
〒698-0007 島根県益田市昭和町20番15号 島根県立石見高等看護学院
TEL:0856-23-2615
FAX:0856-23-3462
E-mail:prfiwami@mx.miracle.ne.jp
〒693-8550 島根県出雲市西林木町151 島根県立大学出雲キャンパス内
TEL:0853-20-0200
FAX:0853-20-0536
E-mail:jamne-jimukyoku@izm.u-shimane.ac.jp
宿泊のご予約は各自でお願い致します。
副会頭:竹内節子(島根県立石見高等看護学院 副学院長)
2014年3月9日に島根県益田市にある島根県立石見高等看護学院を会場に第24回日本医学看護学教育学会学術学会を開催させていただきました。2013年7月の山陰豪雨の影響でJRが不通になっている区間があるにもかかわらず、全国から159名の皆様にご参加いただき感謝申し上げます。
今回の学術学会は「在宅の医学看護学教育」をテーマにあげ、超高齢社会を迎え治療を中心にした「医療」から生活を重視した「在宅」に流れがシフトしている中で、医療職としてどのように向き合えばよいのかを考えました。
会頭講演では、益田地域医療センター医師会病院の院長である狩野稔久先生が、「2025年へのロードマップ ~在宅医療・介護の課題~」と題して講演されました。これまで生存率を上げることを目標としていた医療から、生活の質を維持し「寄り添い」「癒す」「看取る」医療に変化していることを説明されました。そしてサザエさん一家を例に家族が家族を介護する日本的家族主義を期待するのではなく、医療者が社会のニーズに沿った医療を目指すべきことを強調されました。「医療は医学の社会的適応である。」という武見太郎氏の言葉を引用され、私達がガラパゴス化しないよう社会が求める医療を提供しようと結ばれました。
一般演題は48題の発表があり、4会場で活発な意見交換が行われました。今大会では、優秀な発表に対して、会長賞1題、会頭賞1題、各会場賞4題を選出致しました。ドラムロールが鳴り響く中、ユニークなネーミングの賞もあり和やかな雰囲気で表彰式を行いました。
午後は、特別講演として東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科准教授の高野龍昭先生に、『「地域包括ケア」時代における在宅の医療・看護専門教育~IPE(Inter-professional Education:関連職種連携教育)から考える~』と題して講演していただきました。在宅医療・在宅介護の歴史を紐解いていただき理解を深めた上で、現在の医療保険や介護保険制度改革についてお話しいただきました。また今後、それぞれの地域の実情に合わせた地域包括ケアシステムの構築が必要であることや、システムを支える専門職が互いに学び合いながらケアの質を向上させていくことが重要であると教えていただきました。
閉会式では、第25回学術学会の会頭を引き受けられました社会医療法人仁寿会加藤病院の加藤節司先生から、平成27年3月14日に島根県立大学出雲キャンパスで開催予定であるので、多くの皆様にご参加いただきたいとご挨拶がありました。
最後に、学術学会を担当するにあたり学会事務局や会員の皆様に多大なご協力を頂き盛会に終了致しましたことに感謝申し上げます。今後、本学会がますます発展しますことを祈念致します。